調査費も経費扱い!飲食店の経費の6つの項目

飲食店オーナーなら税金をなるべく抑えるためには、面倒でも、レシートや領収書をひかえて、経費申請をしっかり行わなくてはなりません。飲食店なら、材料の仕入れや人件費、家賃、光熱費といったものは当然経費になりますが、他のはどのようなものが経費扱いになるのでしょうか?

実はライバル店の偵察なども、仕事に関わることならちゃんと経費になります。しかし、仕事には関係のない飲食費を経費扱いにするにのは節税ではなく脱税です。

本日は税理士の筆者が、飲食店の7つの経費項目について詳しく解説いたします。

飲食店の代表的な7つの経費

経費①材料費

材料費は、飲食店経費の代表的なものです。FLコストのFに該当します。

◆FLコスト
F(Food)材料費
L(Labor)人件費

これに売上で割ったものをFL比率と言います。

FLコストは合計で50~60%に抑えるべきです。ここのコストコントロールができるか、どうかで、飲食店の利益が確保できるかどうかに大きく関わってきます。材料費は、変動費ですから、質を下げることで値段を下げることもできますから、コントロールしやすい経費なのです。

しかし、材料費をさげると、提供するサービス(料理の質)に関わってくるので、カンタン下げてよいものでもありません。材料費を上手く下げるコツは、以下の3つです。

◆材料費(原価)を抑えるコツ
①いろんな料理に使える材料を仕入れること
②使いきる(捨てない)
③仕入れすぎない

メニューを考えるときに「この料理にしか、この材料は使えない」というメニューを置かないことです。なぜなら、もしその料理が売れなかった場合、その材料は無駄になります。しかし、いろんな料理に使うことができれば、材料を使いきることができからです。

このように「美味しいものを作れるから!」というメニューも大切ですが、材料費を下げる工夫が必要になってくるのです。

経費②人件費

人件費は、FLコストのうちのLaborコストに該当します。変動費扱いの材料費と異なる点は、人件費は固定費であることです。したがって材料費のように「今月は材料を削って経費をおさえる」ということをしずらい経費です。

そんな固定費の人件費でも、FL比率を抑えるコツは、飲食店が暇なときはシフトを入れず、忙しい時間にアルバイトにシフトに入ってもらうことを徹底することです。極端な話、せっかくシフトに入ってもらったアルバイトにも、あまりお客さんが入っていなければ「ごめん、今日は早帰りで!」と帰ってもらえば、人件費を効率よく使うことができます。

ただし、アルバイトにとってみれば「なんだよ、もっと稼ぎたかったのに!」と良い気持ちはしないはずです。そうならないコツは、アルバイトを採用するときに「うちの店は早帰りがありますが、大丈夫ですか?」とちゃんと事前に説明しておくべきです。また普段からアルバイトと良好な人間関係をつくることも大切です。

経費③家賃

飲食店の経費の大きな比率を占める一つが「家賃」です。地方でも良い立地であれば20万円/月を超えることも珍しくありません。しかし、建物の地下や2階にある場合で、相場よりも家賃が高いケースがよくあります。そういう場合は非常に言いだしにくいことではありますが、飲食店オーナーであれば、家賃交渉を行うことも必要です。

家賃交渉は受け入れられるケースもあります。家主にとってみれば、数か月も空き店舗となるのは、大きなロスですし、また店舗がコロコロ変わると「この物件は儲からないのか?」思われるリスクがあるからです。

またむやみやたらに値下げするのは交渉とは呼べません。例えば、同条件の物件を調べて、「この物件はうちと同じような条件だが、うちの方が家賃が高い」あるいは「借り手から半年たつが、当初言われていたような客足がない」など、交渉材料を持つべきです。

家賃を圧縮できれば、年間で相当な経費を節約し、利益を出すことにつながります。

経費④光熱費・水道代

飲食店では、家庭よりも光熱費や水道代が大きくかかり、毎月数万円という単位で経費になります。特に30席もある大型店舗では、冬の暖房代などが大きな費用となります。電球をLEDを使用したり、省エネ家電を使うなど、費用を圧縮することもなくはありませんが、設備費用もかかります。

経費⑤チラシ等のPR費用・食べログ等のポータルサイトへの掲載費

もし、チラシ等を新聞に差し込みを依頼したり、ポータルサイトへの掲載を依頼すれば、当然、その費用も経費扱いにすることができます。

今ですと、チラシよりもインターネットを使った集客が効果的で、食べログへの掲載料は1万円~10万円までさまざまです。下記の記事で掲載費用が詳しくまとめられております。

【食べログの掲載料金】プラン内容と集客効果を同業者目線で考察!

特にオープンしたばかりの地下や2階以上の立地が悪い飲食店オーナーは、宣伝をしなければなかなか顧客はやってきません。特に女性客は食べログなどのポータルサイトをよく見てからお店にやってきます。集客が成り立つまでは、ポータルサイトへの掲載はやむを得ません。

食べログなどには、無料で掲載できるものもありますが、残念なことですが、有料コースでないと、点数が3.6以上つかないことが、SNSで炎上さわぎとなってしまいました。詳しくは下記の記事をご覧ください。

食べログの得点計算についてのポジティブな可能性を考えるー操作されたデータを検証する難しさー

食べログの点数は、それだけ集客と密着に影響してうる証拠です。今後このようなことは運営側は改善していかなくてはなりません。

しかし、このような口コミ対策は、飲食店オーナーもしっかり行わなくてはなりません。例えば常連客に「こんど一杯無料にするんで口コミ書いてください」とお願いしましょう。ただしここで「満点をつけて」というのは詐欺ですから、注意してください。あくまで口コミの点数や内容は常連客にまかせましょう。

経費⑥セミナー参加費やコンサル費用あるいは競合店調査の食事代

飲食店に限りませんが、経営を上手く行うには、成功者の意見を参考にすべきでしょう。そのための有料セミナーは全国で行われていますし、飲食専門のコンサルタントにコンサルを依頼することも多々あります。

セミナーやコンサルは数万円程度のものもあれば、数十万円する高価なセミナーやコンサルもあり、相場があるものではありません。

そのようなセミナーやコンサルでは、原価を抑えた美味しいメニューや、集客に効果のある宣伝方法、そしてお店内のスタッフの導線を改善し、経営効率をあげるコツなどを得ることができるできます。

しかし、気をつけないと、実はそれらのノウハウは、YouTubeなどでも無料で提供されている程度のノウハウであることも多く、無駄にお金をとられてしまいます。

ですから、セミナーやコンサルを受ける前にご自身で、インターネット検索したり、本を読んで、ある程度の知識を備えてからでないと、カモにされてしまいますから、ある程度の知識を得てから検討すべき経費でしょう。

そして、コンサルなど使わず自分で競合店に潜入調査で食事をする時の費用も、経費扱いになります。ただし、個人経営の場合は隣町の離れた場所のお店などはライバル店とは言いづらいので、税務調査で突っ込まれても良いお店での食事代に限られます。

飲食店の経費のまとめ

「どうせ、税金にとられるなら、あれもこれも経費してしまえ!」という飲食店オーナーの方もいますが、そうすると、手元にキャッシュが残らなくなります。それでは利益が残りません。

そうならないためにも「これくらいの利益を確保したい」と、念頭において経費計上を行いましょう。そしてざっくりでも良いので、毎月の売上や経費、利益を記帳し、その推移をみて経費をコントロールしていくべきです。

経費を増やして、税金を減らすことを考える前に、まずは毎月の売上・費用を管理していくことからはじめましょう。

 

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