すでに飲食店を開業したオーナーや店長が気になるのは
「どうやったら、もっと利益が出るのか?」
「こんなに働いているのに、ぜんぜん儲からない・・」
という悩みではないでしょうか?利益の考え方は非常にシンプルで
売上(100万円)- 費用(70万円)=利益(30万円)
これが利益です。そして利益率とは
利益(30万円)÷ 売上高(100万円)× 100 = 利益率30%
となり、これが利益率の計算式です。飲食店の利益率は30~40%であれば、まずまずで40%を超える利益率だと、非常に高収益の飲食店で言えるでしょう。では、利益率を高めるにはどうすれば良いのでしょうか?それは損益分岐点をコントロールすることがコツとなってきます。
本日は税理士の私が、飲食店の利益を最大化するための損益分岐点のコントロールするための9つのポイントを解説いたします。
ポイント①メニューを売れ筋メニュー絞って材料費を圧縮する
まず、飲食店であれば変動費の最も大きな費用の材料費に注意を払うべきです。しかし、ここで飲食店オーナーがよくやる過ちとは「材料の質を下げて、費用を抑える」ということです。これはやみくもにやってはいけません。
お店の味のクオリティが下がれば、客足が遠のいてしまい、売上を下げてしまっては、意味がないからです。そうではなく、私が言いたいのは「材料費を下げて、料理のクオリティを高める」ということです。
例えば、お店がイタリアンだからといって、あまり注文されないメニューに合わせて材料を購入し、あまり注文されないので、賞味期限を超えて廃棄となることの多い食材があるはずです。イタリアンレストランだからといって、全てのメニューを用意する必要はないのです。
そういった「イタリアン料理の常識(イタリアンレストランならこういうメニューはあるべき!という常識)」という考えをいったんはずして、あまり売れない料理はメニューから外して材料費を減らします。
そしてその浮いた材料費の費用を「売れ筋メニュー」のパスタやピザの食材のクオリティを高めるのです。そうするとお客さんも「この店のおススメパスタ美味しい!」となり顧客満足度が高まり、リピート率が高くなるのです。
このように成功する飲食店の材料費は「メリハリ」が効いており、売れ筋料理にはとことん費用をかけてクオリティを高めて、あまり注文が出ない料理はメニューからはずしたり、他の食材でカバーできれば材料の見直しなどをして、材料費を下げて、損益分岐点を下げるのです。
さらにこの方法は、売れ筋メニューのクオリティを高められるので、売上アップとなり、利益率が非常に高くなるおススメの方法です。
ポイント②材料を使いきることで、無駄をなくし損益分岐点を下げる
とにかく仕入れた材料は使いきることです。メニューがさばけなかったからといって、そこに疑問を抱かずに材料を捨てて、新しい材料を仕入れていては、損益分岐点が高くなる経営体質を作ってしまいます。
そうならないためにも、材料を徹底的に使いきることを考えてみてください。そのためには下記のつ7のコツががあります。
◆材料を使いきるための7つのコツ
①普段から一日あたりの材料をしっかり把握する
②使う材料を把握して、使いきれる分を仕入れる
③余りそうな食材はお客さんにおススメメニューとして勧める
④「おとうし」に使う
⑤スタッフのまかない食に使う※経費扱いにできません
⑥冷凍が効く材料は冷凍する
⑦メニューの一部を冷凍食品でカバーできるかを検討する
このような努力をすることで、食材を使いきってしまうことができるのです。食材を捨てずに使いきることができれば、一年を通して考れば、損益分岐点を下げることにつながるのです。
ポイント③アルバイトは閑散時には帰ってもらう
混む時間や曜日にアルバイトスタッフを配置しても、実際はお客さんが来ず、暇になってしまうことはあります。そういった時はアルバイトに「今日は空いてるから上がっていいよ!」と帰ってもらいます。そうすることで、人件費を下げることができるからです。
しかし、ここで問題となるのがアルバイトのモチベーションです。稼ぎたいアルバイトからすれば「空いててお金もらえるのはラッキー!」となり、その時に帰させると、アルバイトは辞めてしまうかもしれません。まして、2019年の現在は飲食店はどこも人手不足です。
こうならないためにも採用時の面接で「暇な時は帰ってもらうことがありますが大丈夫ですか?」と念を押しておくべきなのです。そうすれば、不満も少なくなるので、初めに言っておくことが大切です。
もし、帰らせることに抵抗がある経営者の方は「今日は時給の半分は支給するから帰ってもらえる?」と言えば、バイトは全額ではないですが、半分もらえるので、モチベーションがあがります。経営者も半分はらいますが、人件費を抑えることができるので、双方にとってメリットがあるのです。
ポイント④混んでいる時に利用する「勝手にドリンク方式」
全てのお店で利用できる手法ではありませんが、例えばお店が非常に混んでいる時は、お客さんにとってみればなかなかオーダーが来なくなり不便になります。「もっとビールが飲みたいのに、、、」と思わせること自体、お店とお客さんの双方に無駄が発生しているのです。
そういった時は、例えば小さい冷蔵庫を用意し「勝手にドリンク」と称し、お客さんにドリンクを缶のまま提供するのです。お客さんはお店が混んでいれば、自分でこの冷蔵庫からドリンクをとっていきますし、お店のスタッフにも余裕が生れます。
会計は、ドリンクの空き缶を会計時に数えればよいだけなので、手間もかかりません。このためドリンクの売上を伸ばし、かつスタッフのキャパシティをあげることもできるので、売上を伸ばすことにつながりますし、仕入れのドリンクも、開封しなければ日持ちするので、無駄が全くない方式なのです。
ポイント⑤積極的にお客さんに声かけを行う
お客さんの食事の状況に応じて、積極的に声掛けを行います。例えば利益率の高い「おススメメニュー」を進めてみたり、比較的余っている食材のメニューをおすすめして、損益分岐点をコントロールします。
特にお酒が入ってくるとお客さんも気前がよくなることがあるので、そんな時はおススメメニューや追加のオーダーをすすめてみましょう。こういったオペレーションを年中つづけることで、経費を下げて、売上を伸ばすことにむずびつくからです。
ただし、声掛けも間違えると「落ち着けないお店だ!」となり、客足が減るので、その辺は状況に応じた接客をしなくてはなりません。
ポイント⑥年間を通じて定休日を見直す
例えば、毎週火曜日休みだから、意味もなく火曜に休んでいませんか?例えば鍋のお店なら寒い時期は繁盛します。にも関わらず火曜日だからといって休みにするなどは非常にもったいないです。それでしたら閑散期には休みを多めにして、繁忙期は休みを減らすなど年間を通じて休日をコントロールしてみましょう。
また、大雪や台風に営業日が重なり、事前にある程度わかる場合は、お店を閉めてしまいましょう。予約が入っている場合は、事前に電話をして「台風なので、お客様の安全を考えお店をクローズします」と言うのも角がたたないはずです。
定休日をコントロールすることで、年間を通じて損益分岐点をコントロールしやすくなるのです。
ポイント⑦保存が利くものは大量に仕入れて材料費を下げる
まず、ドリンク類であれば、大量に仕入れることでディスカウントが効きやすくなります。お酒の問屋も多く仕入れると気軽に「1本サービス」ということはよくあります。
また、冷凍できる材料で、大きな冷凍庫があるなら、まとめ買いによって、材料費を抑えることができます。そういった食材は、問屋に交渉してみてディスカウントの余地があるかどうか見定めて、ディスカウントが効いて保存ができるようなら、大量に仕入れて材料費を削ってみましょう。
年間を通じて行うことができれば、損益分岐点を下げることができます。
まとめ:損益分岐点を下げることができれば、高収益体質にかえることができる!
本日は、損益分岐点を下げて、利益率をあげる方法を中心に解説いたしました。例えば売上が200万円のお店が、費用の合計も200万円で、ぎりぎりの経営をしているのであれば、売上を伸ばすことより、損益分岐点を下げる努力をしてみるべきです。
ポイント①で解説した「売れ筋メニューの材料の質をあげて」「売れないメニューをはずし、材料を仕入れない」ということを行えば、費用を下げて売上を伸ばすことが必ずできます。
そのためには、普段から売れるメニューを把握したり、材料費などを念頭に経営していかなくてはなりません。美味しいモノを作って、素晴らしいサービスを提供したからっといって利益がカンタンにでるほど、飲食店の経営はあまくはないからです。