「飲食店の開業にどんなことを事前に用意すればいいのか?」
「飲食店開業のポイントは?」
などと飲食店開業を志す方は気になることが多く不安にもなるでしょう。本日はそういった方のために、飲食店の開業から、経営を軌道に乗せるために必要な11の必須項目をご紹介いたします。この11項目は、飲食店の資金の流れを全て把握している税理士の私の20年以上の経験から書いたものだから、最後まで安心して読んでいただければと思います。
それでは、飲食店の開業を考えている方向けに、飲食店開業で押さえておくべき11の必須事項を解説いたします。
飲食店を開業する前に知っておくべき事実「倒産する飲食店は増えている!」その多くは小規模事業者!
まず、11の項目をそれぞれ解説する前に、飲食業界の現状を知っておこう。
飲食店の開業を考えているのなら事業に対して「本気」かどうかが一番問われます。下記のグラフを見てもらうと、わかるとおり、2000年以降、飲食店の倒産は2017年の上半期はに過去最高の360件(半期毎の統計による)に達しているのです。下記グラフをご覧ください。
データ引用先(PDF):帝国データバンク(外食関連業者の倒産動向調査(2017 年度上半期) )
上記の表の詳細ですが、中でも以下のように小規模事業者が、倒産の80%以上を占めており、また「酒場やビヤホール」のような大衆的な居酒屋の倒産件数が最も多く出ています。
倒産の多くは小規模事業者で「酒場・ビヤホール」
①5000万円未満の小規模倒産の構成比が全体の81,7%
②倒産上位の3つの業態
1位「酒場、ビヤホール」 64件
2位「中華料理店、その他の東洋料理店」55件
3位「西洋料理店」 44件
これはどういうことか?と言えば、大手チェーンは店舗拡大し、スケールメリットを活かし食材を低価格で仕入れて、低価格メニューを提供し売上を維持・向上させているのに対して、小規模事業者は、大手事業者に立地や価格面で対抗することができないため、味やサービス、お店の雰囲気で差別化が図れない飲食店が倒産に陥っているのです。
食材の価格向上や円安が、そういった状況に拍車をかけているのです。飲食店は手持ち資金があれば、誰でも開業しやすいジャンルの事業ですが、その分、競争がとても激しい市場のため、これから飲食店を開業される方は、「本気」で経営に取り組まなくてはならないのです。
飲食店の開業前に押さえておくべき11項目!
項目①より高いビジョン(どんな風になりたいのか?)を持つ!
項目②ざっくりでいいから目標を入れ込んだ「5ヵ年計画」を作る
項目③なるべく低い金利でお金を借りる!日本政策金融公庫がおススメ!
項目④飲食店のターゲットを考えて、ターゲットが来そうな物件を借りる
項目⑤内装や設備をなるべく安く揃える
項目⑥飲食店開業の届け出を出す
項目⑦お店をオープンする時に行う3つのこと
項目⑧お店へ集客する
項目⑨当初の計画と実績を比較する!
項目⑩決算・申告をする
項目⑪アルバイトを採用する
それでは、開業前にどのようなことを検討すべきなのか、以下に解説する11の項目の全てを押さえておくべきです。この11の項目は、税理士の私と、共同経営者のマーケティングのスペシャリストとともに考えた11項目だから、開業前に必ず頭に入れておきましょう。
項目①より高いビジョン(どんな風になりたいのか?)を持つ!
飲食店を開業しようとする人の多くは
「ラーメン屋は儲かりそうだ!」
「この立地で居酒屋を開けばお客さんがいっぱいくるのは間違いない!」
「そば作りは趣味で10年やっているから、上手いそば作れば自営でも食っていける」
など「儲かる」「生活ができる」という目先の収入ばかりに考えて開業する方がほどんどです。しかし、飲食店とは、経営者の考えそのものが反映される場所なのです。そして儲けのことや自分の生活のことを中心に考えている経営者の考えは、店構えや従業員の態度からお客さんにもなんとなく伝わるものです。お客さんもバカではありませんから。
ですから長きにわたりお客様に支持される飲食店を作るには、下記のような高いビジョンを持つ必要があります。
「地元で取れた厳選の食材を提供して、地元のお客さんに地産のすばらしさを再認識してもらう拠点になりたい」
「大事な人との食事や、記念日には”絶対にこの店に来たい!”というお店になりたい」
「仕事帰りに、寄ってもらい、食事や店員とのコミュニケーションで、元気になってもらうお店にしたい!」
「徹底的に味にこだわって、県外からも来店する日本でも屈指のうどん屋になりたい!」
つまり、将来どのようになりたいか?というビジョンが必要なのです。なぜなら飲食店は、日本中に無数にあり、すでにレッドオーシャンの市場です。立地や低価格だけに集中しても、他のお店と差別化できないのです。
ですから、ビジョンを持って、飲食店を経営する必要があるのです。そしてビジョンがあれば、それはストーリーになり、ストーリーがあれば、お店の評判として口コミで伝わりやすいのです。
そして高いビジョンを持つことで、現状に満足せずに常に高みを目指して行動することができます。人手不足の日本では、これからは人材の取り合いになります。ビジョンのある店とない店で、同じ雇用条件ではどちらが人が集まりやすいでしょうか?答えは明白でビジョンのある店です。
飲食店を開業する前に、まず「どんなお店にしたいか?」ビジョンを考えましょう。もし、ビジョンがないという方は、下記のサイトを参考に、ビジョンを作ってみましょう。
参考リンク:経営者が知っておくべき「ビジョンの作り方」8カ条
ビジョン作りのポイントは、より高いビジョンを持つことです。でなければ、ビジョンを達成した時に、それ以上の向上は見込めないからです。
項目②ざっくりでいいから目標を入れ込んだ「5ヵ年計画」を作る
私も多くの飲食店の経営者と出会ってきましたが、10年以上長続きしている飲食店の経営者の多くは計画や目標を持っています。それは企業で使うような精巧な計画表ではないですが、ざっくりとした数年後までの計画を頭の中で明確にもっています。
事業計画というと「俺にはそんな難しいものを作れないよ。。。」と思うかもしれませんが、計画とは短期的な目標をならべるだけでも計画になるのです。例えば、下記のような目標を入れこんだ5か年計画のことです。
◆五ヵ年計画の例
目標①開業6ヶ月後に黒字達成
目標②開業1年目で月間売上150万円を達成
目標③開業2年目で月間売上200万円を達成
目標④開業3年目で従業員を雇う
目標⑤開業4年目で借金を完全返済
目標⑥開業5年目で店舗を増やす
これくらいザックリした計画であれば、誰でも作ることができます。多くの飲食店を開業する方が、失敗するケースは、こういった計画を持たずに「なんとかなる!」という考えだけで、飲食店の開業をスタートさせているのですが、それは大きな間違いです。
目標があれば、現状と比較することで「勝っているのか?」「負けているのか?」がはっきりわかるからです。目標より劣っているのであれば、改善策を考え、目標を上回っているのであれば、次の目標までの期間を早めたり、目標をさらにあげたりします。
しかし、間違えてはいけないのは、これらの目標のより高い概念に「ビジョン」があります。そのビジョンを達成するための目標になるのです。
項目③なるべく低い金利でお金を借りる!日本政策金融公庫がおススメ!
開業には、家賃から、内装や従業員給料まで多くの資金が必要になり、小規模事業者の場合の開業資金の相場は700万円~1200万円と言われています。自己資金が1,000万円もあれば、お金を借りる必要はありませんが、そんな方はあまりいないでしょう。ですからお金を借りる必要があります。
親や親戚からお金を借りる
親や親戚から無金利でお金を借りることができれば、良いのですが、肉親であってもお金はトラブルのもとですから、慎重にならなくてはいけません。もし、親戚から一部の資金だけでも調達することができれば、金融機関から融資を受ける際、自己資金をみなすことができるため、非常に融資を受けやすくなりメリットがあります。
ただし、これが友達や知り合いからの融資の場合は、銀行からは自己資金とみなされませんので、それだけでも血縁関係のある方からの融資は大変ありがたいのです。
日本政策金融公庫の「中小企業経営強力化資金」がおススメな3つの理由
日本政策金融公庫には、多くの融資がありますが、その中でも特におススメなのが「中小企業経営強力化資金」です。メリットは3つです。
メリット①「中小企業経営強力化資金」の申請を行えば利率がかなり安い
メリット②上記の申請が通れば金融機関に行く必要がなく、本業に集中できる
メリット③「中小企業経営強力化資金」の申請であれば無担保・無保証
飲食店の経営は、とにかく忙しいです。その中で経営者が都度、金融機関に出向くのは多くな負担になりますが、この中小企業経営強力化資金の制度を使えば、外部専門家(認定経営確信等支援期間)が、あなたをサポートしてくれ、融資面では、あなたの代わりに融資担当者と話を進めてくれるので、非常に負担も減ります。
まずは、日本政策金融公庫のホームページを見て、実際に問い合わせてみたほしい。
公式ホームページ:日本政策金融公庫 中小企業経営力強化資金
項目④飲食店のターゲットを考えて、ターゲットが来そうな物件を借りる
駅前や人通りが多ければ、良い物件ということではありません。飲食店のメインターゲット(性別や年代)が来やすい物件を探し出してください。よく失敗するパターンが以下の物件の借り方です。
以前がラーメン屋であった居抜き物件のため、設備をそのまま使えるから、この物件を選んだ!
確かに、居抜き物件は設備投資を抑えることができますので、限られた資金を有効に使えます。しかし肝心なことは「前のラーメン屋がなんで倒産したのか?」という点です。そしてそういう店舗でよくあるのが、「前の前のラーメン屋も1年でつぶれた」など、実は倒産があいつぐ物件であることがあるのです。
また、私の知り合いの店舗ですが、隠れ家をテーマに「渋谷」と「恵比寿」の丁度中間地点に、バーを構えたのですが、メインターゲットととなる30代~40代のサラリーマンが通る場所ではなかったため、その結果2年たった今でも、黒字を達成できておりません(親会社が別で存在するので倒産することはなく、2年たった今も存続中)。
ですから、立地の前に、飲食店に来て欲しいメインターゲットを考えてみてください。それは「老若男女」誰でもという考えでは絶対に失敗します。下記にこれを表現した非常に良い図があるので、ご覧ください。
◆誰も望まない車ができる例(ターゲットが明確ではない例え)
この例が示すように、全ての人に受け入れられる飲食店を作るということは、誰にも受け入れられない飲食店を作るようなものなのです。ですから、立地を検討する前に、
「どんな人がうちのターゲットなのか?」を以下の5つの観点で明確にしてください。
◆ターゲットの5つの決め方
①男性か女性か?
②年齢は?
③ターゲットの住所は?
④独身か?家族持ち?家族構成は?
⑤ターゲットはどんな気持ちか?
そしてターゲットが鮮明になったら、その人たちが集まる立地を探すだけで、失敗確率が減ります。もし気に入った立地が見つかったら、店舗を営業する時間帯の平日と土日の両方をじっと、通る人を観察してください。これくらいの努力をした後に、契約をしないと、取り返しのつかないことになります。
また、近所の人に話しかけてみるのも手です。「ここでラーメン屋を開こうと考えているのですが?人来ると思いますか?」と率直に聞いてみるといいでしょう。ただし、一人だけに聞くのは、意見が偏る危険があるので、最低でも5人の地元の人に聞いてみるのが良いでしょう。また近くに飲食店があれば、入ってみて、意見を聞いてみるのも良いでしょう。
項目⑤内装や設備をなるべく安く揃える
もし居抜き物件なら、設備費用を相当抑えることができますが、居抜き物件ありきで物件を探すと、ターゲットがあまり来ない立地になってしまいます。飲食店は立地が命ですから、まずは居抜き物件にこだわるのはやめましょう。
ターゲットが集まる確信を得た、立地が見つかれば内装工事ですが、仲介業者が入ればはいるほど、間のマージンをとられて、工事費用が高くなるので、内装を依頼する場合は、下請けに工事を出さないかが重要なポイントになってきます。
また、激安中古の内装品を使うことができれば、費用を削減することができますが、よくある失敗が
「サイズが違う」
「規格がちがうからうちの店舗には取り付けられない」
といったリスクです。業者としっかり確認しながら進めましょう。
項目⑥飲食店開業の届け出を出す
飲食店を開業するためには、最低でも5つの届け出が必要になります。正直、非常に面倒だと思いますが、絶対に必要な手続きですので、必ず滞りなく手続きを行いましょう。
(1)食品営業許可申請
飲食店を開業する10日前までに、所管の保健所に届け出ましょう。食品衛生責任者が必要となりますので、各都道府県が行う講習会を受ける必要があります。
(2)防火対象設備使用開始届け
開業7日前までに、マンションの一階部分など、建物の一部で、新たに飲食店を開業する場合に必要な届け出ですが、内装業者が届け出をだす場合がほとんど。まずは所管の消防署に問い合わせましょう
(3)火を使用する設備等の設置届け
火を使う設備を設置する前に消防署に届けるでる必要があります。
(4)防火管理者選任届(店舗の収容人数が30名を超える場合)
営業開始日までに、所管の消防署に届け出を出します。防火管理者は消防車が行う講習を受けなくてはなりません。
(5)個人事業の開業届け
個人事業主として、開業の一カ月以内に、所管の税務署に届け出る必要があります。
12時以降も営業する場合や、お客さんに接待行為をする場合に必要な届け出は?
上記とは別途必要な届け出を解説します。
(1)深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
深夜12時以降も、営業するバーや居酒屋、スナックなどの場合は開業10日前までに警察署に届け出る必要があります。
(2)風俗営業許可申請
いわゆるスナックやキャバクラなどの業態の場合は、営業の二カ月前までに届け出る必要があります。地域によっては禁止されているエリアがあり、そういった場所で開業することは違法となります。
従業員がいる場合の届け出
経営者だけで働くのではなく、従業員が必要な場合の届け出を紹介いたします。
(1)社会保険の加入手続き
法人の場合は絶対に加入が必要ですが、個人事業者の場合は、加入が任意です。開業後、すみやかに加入します。
(2)労災保険の加入手続き
従業員を雇う場合に必ず必要な手続きです。雇用する日から10日以内に届け出ましょう。
(3)雇用保険の加入手続き
こちらも従業員を雇う場合に必須の手続きです。雇用する日から10日以内に届け出ましょう。
項目⑦お店をオープンする時に行う3つのこと
ここまで用意できたら、お店をオープンします。当然ですが、有名なシェフや立地に恵まれないかぎり、オープン当初は、お客はあまり来てくれません。ですから、最初は知り合いや近所の人に来てもらう施策を行います。
作戦①家族や親せきを招待する
オープン時には両親や兄弟などを招待しましょう。もちろん、親戚がいくら来ても売上に対する貢献は微々たるものですが、家族や親せきであれば、お店の経営を心配もしてくれて、お店の近くに住んでいる知り合いを紹介してくれるなど、きっと便宜を図ってくれるでしょう。
作戦②多くの友人・知人を招待する
まずオープンしたら、できるだけ多くの友人知人に案内を出しましょう。今は、FacebookやLINEがあるので、招待するのは非常に手間がかかりません。そして嫌らしいかもしれませんが、できるだけ「いつ来るの?」と確約を取るべきです。なぜなら、薄い約束を大勢の人にかけても来るのは一人二人では非常に寂しいからです。
私の知り合いも「俺は友達が多いから、オープンしたらいっぱい呼ぶ!」と豪語してましたが、オープン当日に3人くらいしか来てなかったことがあります。確かに彼には友人や知人は多かったのですが、浅く広くのスタンスだったために、誰もが約束を真剣に考えてなかったのです。
ですから、できるだけ一人一人丁寧に約束をとりましょう。また、大勢来る見込が取れれば、日付をずらして、まんべんなく来てもらう工夫が必要です。
※注意点:経営者の友人だけがたむろする飲食店になるのは避けよう
これも飲食店で失敗するよくあるケースなのですが、友人達が毎日のように開業した飲食店に来てくれるのですが、実はその行為が、新規客を遠ざけていることがよくあります。私の経験ですが、市川の妙典に友人が住んでいるのでよくいくのですが、友人と一緒に入った店には、店員とペチャクチャ話している人達が数名いました。
私たちは食事をたのんだら、味はすごく美味しかったのですが、その店員と仲の良い連中が「ガラが悪い」というか、まるで自分の家みたく、横柄な態度なのです。その店を後にした私は「美味しいけど、なんか身内感があって入りずらいな、もう行くのは良そう。。」と言っていたら半年後にはつぶれていました。
友人たちが気を使って、毎日来てくれるのはありがたいのですが、新規客に配慮できる友人でないと、このような新規客が入りづらいお店になることは多いので、気をつけるべきです。
作戦③近所の方に特典をつけて無料で招待する
飯田橋で繁盛している天丼屋ですが、オープン当初「天丼100円」というオープニングイベントをやったところ、オープンから数日間は、何百人も並ぶ状態になり、地域で大反響しました。そのためにオープン数日前から、チラシ配りをおこなうなど、綿密なプロモーションをおこなっていたいたために大成功となりました。
これは極端な例ですが、「○○2丁目の方は最初の1杯無料」などの特典をつけて、まずは近所の方に注力して、オープニングの集客を成功させるべきでしょう。
また、近所に飲食店があれば、助け合いの世界なので、実際に食事しに行って「近くでオープンしたので、是非来てください!」と言うと、実際に着てくれるものです。飲食店同士でも業態が違ったりすれば、相互送客が期待できるからです。
オープンしたばかりは客が0人の日もある!
オープンから日がたち、少し落ち着くと「今日は誰も来なかった。。」という日が飲食店開業時にはよくあります。そういう日が続くと、ネガティブな気持ちになりますが、そんな日はFacebookを使って素直に「食材が余って困ってます!」(客が来ないとは言わないで、表現を変えましょう)と投稿して集客をしましょう。
最初は客が0人ということは飲食店では珍しいことではありません。ネガティブに考える前にできることを着実に行いましょう。
項目⑧お店へ集客する
事業者が一番苦しむのが集客です。立地が良かったり、有名飲食店のフランチャイズでブランド名を背負うことができれば、自然と集客ができますがそうではない事業者の方がほとんどではないでしょうか?
立地による自然集客以外では、以下の4つが代表的な集客方法になります。
(1)チラシの配布(ポスティング)
チラシの配布は、即効性があります。飲食店なので周辺地域だけで十分なので、1000枚程度のコストは1万円以内におさまります。経営者自らポストに投函すれば、印刷代だけで済みます。しかし、大きな効果があるわけではないので、チラシにクーポンをつけるなど、工夫しないとなかなか集まりません。
(2)グルナビなどのインターネット掲載
無料プランと有力プランがあり、無料プランでも掲載可能ですが、ユーザーの発見率もその分低くなります。また有料プランだからといって、効果がでるとは限りません。まずは、下記のようにご自身のお店の地域名と業界で検索してみてください。
検索する例 「船橋市 夏見台 焼き鳥屋」
そうすると、自分の地域では「食べログ」が1位です。ですから、「グルナビ」や「Retty」「ホットペッパー」などありますが、この場合は食べログへの掲載がより露出が高くなるのです。下記に出稿費用の目安も紹介します。安くはありませんので、予算を計算して、効果を試しながら出稿しましょう。
◆出稿費用目安
①食べログ 月額1~10万円
②グルナビ 月額0~5万円
③Retty 月額0.5万~2.5万円
(3)ホームページ開設
ホームページ開設の予算は、業者に依頼した場合は平均20~50万円程度です。HPを作って「貸切可能」「禁煙席あり」「個室あり」など訴求するだけで、そういったニーズがある新規の方が、Googleで地域で検索しているので必ず訪れるうようになります。ですからホームページでは、できるだけ飲食店のサービスの特徴やシステムを詳しく説明する必要があります。
「俺の店はグルナビに登録しているから、HPは不要!」
と思われるかもしれませんが、グルナビなどのメディアには表現できることの制限がありますし、何より自分の店の雰囲気を伝えるには限界があります。こだわりがあるお店ならば、その分ホームページもこだわった方が、雰囲気が伝わりやすいです。
ただし注意点はまるで「グッチやルイヴィトン」などの世界的なファッション会社のようにホームページのようにデザインに凝り過ぎると、使いずらいホームページになり離脱が増えます。デザインにこだわってもよいのですが、不要なアニメーションなどはコストが高い割には、ユーザーからは支持されないので、避けましょう。
また、ホームページは作成するだけでなく、マメに更新できるように、WordPressなどのブログシステムをいれるなど、飲食店のオーナー自身が更新できるように、運用面でも業者に相談するべきです。そうしないと更新の度に業者に1万円などを業者にとられてしまいます。
また、ホームページを設置するサーバーも、業者ではなく自分で管理するようにしてください。
(4)無料デリバリーアプリの「menu(メニュー)」に加盟店登録する
コロナウイルスの影響により、テイクアウトやデリバリーを利用して自宅で食事をする人が増えております。そんな中でも、自分のお店を知ってもらうキッカケとして「menu(メニュー)」というアプリで加盟店登録だけは済ませておきましょう。
なぜなら、このアプリはスタートアップ企業で、現在は固定費も決済手数料も無料なので、デリバリーを積極的にやる方も、そうでない方も固定費を押さえてなんとか認知を広げたい飲食店には最適なアプリです。初めて知った!という方は、まずは下記の公式ホームページで軽く目を通しておきましょう。
このアプリの会社には投資ファンドから資本も入っているので、今後利用率が一気に伸びる可能性があります。
項目⑨当初の計画と実績を比較する!
飲食店を開業したあとは、1ヶ月単位で当初の計画通りに進んでいるか確認します。売上が想定より高くても、油断はできません。売上を分析すると、開店祝いで友人などが来てくれたものであれば、一過性のものであれば、意味はないからです。
また売上が計画を下回っている場合は、原因を探りましょう。もし人が単に来ていないだけであれば、集客施策が必要ですし、利益が悪いようであれば、仕入れや、経費、あるいは価格を見直さないといけないからです。
長く続いている店というのは、突出して味やサービスが良いのか?あるいは、こういう計画と実績を絶えず見直している飲食店のどちらかなのです。
項目⑩決算・申告をする
できれば、税理業務は、税理士を頼んで全てまかせて、自分は飲食店の経営に専念すべきでしょう。税理士に記帳代行から、申告を依頼する場合は、飲食店の個人事業者で売上が1,000万円以上あれば、年間15万円くらいが相場になってきます。下記の表をご覧ください。
◆税理士の相場
しかし、もっと安くというのであれば5万円程度で、経理をしてくれる税理士もおりますが、その場合は記帳を自分で行う必要があります、この点については下記の記事をご覧ください。
また、青色申告が面倒だ!という場合は、白色申告という手もあります。その場合65万円の控除ができませんが、年間の売上と年間の経費の数字を押さえておき、税務署に行けば、税務署職員と一緒に端末に入力することもできます。
項目⑪アルバイトを採用する
売上が計画どおりに行けば、アルバイトの採用が必要になります。ただ今の日本は労働力不足で、どこも人手不足のため、採用はカンタンではありません。実はアルバイトになってくれる方は、お客さんの中にいるケースがしばしばあります。
もし、常連さんができたら「いい人いませんか?」と積極的に聞いてみましょう。
飲食店開業のまとめ
本日紹介したのは、私が税理士として20年以上、数多くの飲食店の経営状況を税理士として接したことから、書いた11項目です。
一番大切なことは、ざっくりでも良いので計画を持ち、そして月に一度はその計画通りに売上や利益を得られているのかを把握し、改善案を練っていくことです。
まちがっても、自分の財布と店の財布を混同するようなことはやめて、しっかり自分の店の状況を把握しておきましょう。